「大東京立体地図」(1000円)というものを買ってきた。


1958年に刊行されたものの複製で、
東京の中心部(山手線とその周辺)が絵画的に描かれている。
50年近く前の東京なので細かく見ていくと、
現在との違いがいろいろ見つかり面白い。
現在の新宿新都心には淀橋浄水場。残念ながらわが十二社は地図の範囲外。

池袋西武の隣、現在のパルコには「丸物」って書いてある。

「丸物」って何?
調べたら、京都の百貨店。近鉄と合併して今はないらしい。
その東京店。変な名前!
鶯谷、日暮里、田端…、に、西日暮里がない!

山手線に西日暮里駅ができたのは1971年だって。へー。
他にも興味ひかれるところ多数。
東京女子医大のそばに「富士テレビ」というのがある。
こんなテレビ局あったんだ、ふーん…、なんだ「フジテレビ」か。
漢字にするとわからんねえ。
カタカナになったのは1958年の12月だそうだ。
他のテレビ局はどうだろう。
日本テレビは番町に名前も変わらずあったが、
赤坂、現在のTBSの場所には「ラジオ東京テレビ」、
六本木には「日本教育テレビ」だって。
そうそう、テレビ朝日は昔、NETっていってて、
Nippon Education Televisionの略だったっけ。
テレビ東京も「東京12チャンネル」だったし。
若い人達は知らないでしょ。知ってるのはオッサンです。
で、「東京12チャンネル」にいたっては、どこを探しても載ってない。
1964年開局だそうで。
ちなみにNHKは赤坂プリンスの隣。愛宕山から渋谷の間にこんな時代もあったのか。
東のほうを見てみると、
そうそう、国技館は蔵前にあったねえ。
隅田川に架かる橋は今と変わらないようだが、
勝鬨橋はやっぱり跳ね上がった姿が描かれている。
かっこいいねえ。

日本橋東急の場所は「白木屋」。
そーか、東急ももうコレドになったんだ。
迎賓館は「国会図書館」になっている。
じゃあ、当時の迎賓館はというと、今の東京都庭園美術館なのだ。
あと、今と違う場所にあるのは、
今は竹橋の国立近代美術館は京橋、今の近代美術館フィルムセンターのところ。
今は大手町の逓信博物館は飯田橋、今の逓信病院のところ。
防衛庁は市ヶ谷でも六本木でもなく、霞ヶ関。
朝日新聞は築地じゃなくて今の有楽町マリオンのところ、
読売は大手町じゃなくて銀座、
毎日は竹橋じゃなくて今の有楽町スバル座のあたり。
ふと品川のあたりを見ると「都屠殺場」の文字。
おお、こんなところにスローターハウスがあったとは。
今、どうなってんだろうと調べたら、
東京都中央卸売市場食肉市場として現在も稼動してるではないか。
これはそのうち見に行かねば。
地図には必ずある「凡例」を見ると、
国鉄、私鉄、地下鉄、都電のほかになんとトロリーバスなんていうのがある。
どこを走っていたのか探すと、
渋谷から明治通りをずーっと赤い点線が続いて行く。
新宿三丁目、池袋へ。今建設中の東京メトロ13号線と同じコースだ。
しかし点線は池袋で終わらずさらに明治通りを進み、
滝野川、王子、三河島、泪橋…、で地図の外へ。
東京にトロリーバスなんて走ってたんだねえ。
モンゴルのウランバートルで見たことあるけど。
地図には「本図より見た東京の地理と歴史」という文章が添えられていて
これにも面白いところがいくつかある。
今を去る2,000年の昔には、銀座、日本橋、上野附近の繁華街はまだ海水に洗われ、その入江のほとりにはアイヌ族が魚貝や鳥獣をとって生活をしていたのです。
アイヌ族? 縄文人のことなんだろうけど、この記述はどうなんだ?
東京はアメリカの首都ワシントンと同じ様に政治の中心地で、国会議事堂は世界議事堂中のベスト3の中の一つでありその白亜の殿堂は誠に威信に満ちたものであります。
世界議事堂中のベスト3? なんだそれ?
もしベスト3選んでも日本のは入らんでしょう。
僕の知ってる中ではハンガリーの国会議事堂が断然ベスト1。
芝のテレビ塔は高さ332米、パリのエッフェル塔よりも高く世界第一位の自立鉄塔建造物であります。
芝のテレビ塔って東京タワーでしょ。なんで1m低いんだろう? 成長した?
ホント、ずっと見てても飽きない。
地図好き人間には絶対オススメのグッズである。
