そこに放流された外来魚ナイルパーチ。
在来固有種を食い尽し、生態系をズタズタに破壊し大繁殖。
しかしこの巨大な白身魚は食用になる。
従来からの漁師はもちろん、
かつての農民など内陸出身者もナイルパーチ漁に従事しだす。
加工工場は整備され新たな雇用を生み、
魚は切り身となってEU、日本へ輸出される。
旧ソ連製巨大輸送機イリューシンを操縦するのはウクライナ出身のパイロット。
彼らを相手に春をひさぐ女たち、ある者はAIDSで死に、ある者は客に殺される。
ナイルパーチの生み出す富も、また切り身さえも地元民の手には入らない。
大量に廃棄される頭と骨をトラック一杯に詰め込み、天日干しし順次、油で揚げ、
食べたり売ったりしているが、あまりの大量さゆえ、処理が追いつかずウジが湧く。
ストリートチルドレンは魚輸送用の梱包材を溶かした手作りドラッグを吸引し、
辛い現実を忘れ眠りにつく、が、そのまま二度と目覚めない者もしばしば。
輸送機は魚を積んで飛び立つ。来るときは何を積んでいるのか。
ある者はカラだと言う。ある者は人道支援の何かだという。
ジャーナリストが告発する、武器を積んでくるのだと。
ウクライナ人パイロットが重い口を開く。
「アンゴラへ武器を運び、帰りにヨハネスブルグからブドウを積んだ。
ヨーロッパの子供はブドウをプレゼントされ、
アフリカの子供は銃をプレゼントされる。
俺は世界中の子供たちの幸せを願う。だがこれが現実だ」
先進国の人間が、できれば見たくない、知らないままでいたい現実を
このドキュメンタリーフィルムはイヤというほど見せ付ける。
地球規模の格差社会、これを解消するためにはどうしたら良いのか
見当も付かない。
(それに比べれば「不都合な真実」で訴えかけられた温暖化対策など
遥かに簡単だ)
戦争、テロを根絶するくらい困難だ。
いやむしろここにある構図こそがそれらの温床となっている。
近代資本主義、グローバリゼーションに巻き込まれたとき、
プリミティブな社会はあまりにも脆弱すぎる。
先進国の人間はただ普通に日々生活しているだけである。
そして普通に経済行為を行っているつもりなのに、
それを辿っていくとはるか遠い地でものすごい歪みとなっている。
東南アジアでは、エビが大好きな日本人向け、
ブラックタイガー養殖のためマングローブ林がどんどん伐採されたそうだ。
また、ナタデココの大ブームの時は村中こぞって従事したのに、
あっという間にブームは過ぎて、仕事はなくなり設備も無駄になったり。
それでも、今日から白身魚のフライもエビもナタデココも食べない!
と宣言したところでなんの解決にもならないのは明白だ。
どうにもならない無力感。
われわれ日本人は武器輸出には手を染めてないということがせめてもの救いか。
渋谷シネマライズにて。同館では2月9日で終了しちゃうけど、
これから始まるところもたくさんあるようだ。
あと、予告編で興味持ったのが今回は珍しいくらいに多かった。
黒沢清×役所広司の強力タッグによるミステリー「叫」、
旧東独秘密警察と反体制芸術家を描いた「善き人のためのソナタ」、
人間になりたいと願う2体のロボットのロードムービー「ダフト・パンク・エレクトロマ」
クラシック音楽の漫画が原作の「神童」、
エミール・クストリッツアら7人の監督によるオムニバス
「それでも生きる子供たちへ」、
などなど。
* * *
映画館を出て井の頭通りへ。

これもナイルパーチかな?
同社サイトを見たら北太平洋のスケソウダラだって、ふ〜ん。
パラッパッパッパ〜♪ I'm not lovin' it !





Biancaさんのブログから
跳んでまいりました 猫と申します。
この映画が突きつけるものは
非常に 痛く 知る&考えるべき
大事なことだとは思いますが
構成がやや単純だったため 映画の出来としてはイマイチのように思いました
私の感想も読んでいただけると幸いです。TBさせていただきます。
宜しくお願いします。
主観を排したドキュメンタリーゆえ、単調ではありますが、
冒頭から映し出された度肝抜かれるようなナイルパーチの巨大さ、
現地住民に払い下げられるその骨の膨大な数など、
映像の訴える力は大きかったと思います(半年以上前の記憶ですが)。
こちらからも他作品記事含めTBいたします。
映画はあまり見れないので、その方面の記事もたまにしか書けないのですが、
今後ともよろしくお願いします。