2007年06月27日

「それでも生きる子供たちへ」

はっきり言って、僕の子供嫌いは相当なものであった。
僕自身が子供のとき、子供らしい子供ではなかったので、
子供の気持ちなどよくわからない。
未成年のときから子供嫌いだった。
だいぶ昔だが、伊武雅刀が「私は子供が嫌いです」と歌ったときは、
同志よ! と感激した(CDは買わなかったが)。

そんな僕だったが、最近は、
子供がひどい目に遭うニュースに接すると、本当に心が痛むようになった。
この変化の原因はハッキリしている。
あらちゃんと接するようになったから。
5年もつきあいがあるので、すっかり仲良し。
僕の子供アレルギーも消失。
街中で子供を見る視線も変わってしまったのが自分でも判る。

最近、映画は1ヶ月に1本程度しか見ないが、
前々回(善き人のためのソナタ)とその前(ダーウィンの悪夢)、
続けて、渋谷シネマライズであった。
そこで予告編を見て、絶対見に行こうと思っていたのが、
この「それでも生きる子供たちへ」である。
子供嫌いのままだったら決してそんな気は起こさなかったであろう。
各国の8人の監督による(1編は2人の共同監督なので)7編の短編からなるオムニバス。
オムニバス映画自体、あまり好きとは言えない上に、
名を連ねた監督達も、
知ってはいるが好きといえるほどではない、あるいはまったく知らない面々である。
それでも見たいと思うほど、子供という存在を気にしだしたということだ。

1、ルワンダ、行軍する少年兵士。
内戦続きのアフリカにおける悲しい現実である。
イマイチ描ききれてなかった感じでちょっと残念。

2、セルビア、少年院を出所した途端、父親に強要され再び盗みに手を出す少年。
いかにもエミール・クリストリッツァらしい、
ユーモアとバルカン臭さに溢れた一編なのだろう。
代表作「アンダーグラウンド」など未見だが、
同監督の高い評価は良く聞くので気になる存在ではある。

3、米国、HIVキャリアで麻薬ジャンキーの両親、学校でイジメられる娘。
おなじみスパイク・リー監督。
やたらハイテンションなアフリカ系アメリカ人のコミュニティには、
なかなか馴染めないが、その分ラストの静けさとの対比が印象的。

4、ブラジル、貧富の差が激しい大都市、廃品回収で僅かな金を得る兄と妹。
リアカーを引きながら都市を自由にすり抜けていく様がとても心地よく、
7本中、最も気に入った一編。
ブラジル映画というと過去に「セントラル・ステーション」しか見たことないが、
もしかしたら、同じ監督かなと思ったが全然違った。
「シティ・オブ・ゴッド」を共同監督したカティア・ルンド作品。

5、英国、心を病んだ戦場写真家が森の中で子供に戻り、仲間に出会う。
あのリドリー・スコットの娘が父と共同監督した一編。
ファンタジー仕立てで、リドリー・スコット的エグさは皆無。

6、イタリア、街中のおっさんの腕からロレックスを強奪し、逃げ回る少年。
舞台はナポリらしい。
イタリアは旅したことがあるが、ナポリをはじめ経済的に厳しい南部には行っていない。
画面から見ると、歴史的建造物にも落書きが目立ち、治安が悪そうな現実が伝わってくる。

7、中国、愛のない家庭の裕福な少女が捨てた人形を抱く貧しい孤児の少女。
こちらもおなじみジョン・ウー監督。
「フェイス・オフ」とか、ハリウッドでドンパチやる映画ばっかり撮る人と思っていたが
拡大する貧富の差という祖国の現実を、ベタともいえる人情劇で訴えかけてきて、
思わず泣かされてしまった。

全体を通して感じたのは、この世には国境が存在するのと同時に、
オトナ界とコドモ界の間に横たわる境界線も存在するのでは、ということ。
そして両者は解かりあえないままも永遠に共存し続ける。
そのことをえぐりだしてはいるが、あくまでもこの作品を描いたのはオトナ界の人々である。
コドモ界の連中はホントはなにを考えてるのか判らないよ。
それでもオトナ界の人間はコドモ界を全力で守る宿命を背負っている。
無償の愛を注がねばならない。

今週末はまたあらちゃんと遊べるかな。
内戦も貧困も知らずにすくすくと育ってもらうために、オトナ界の人間の責任は重い。
でも、なんか自分はコドモ界→オトナ界の全うな道を歩まずに、
変なところに入り込んじゃったような気がしてしょうがないのだ。
ラベル:映画 あらちゃん
posted by えいはち at 15:47| Comment(4) | TrackBack(10) | CULTURE | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
子どもに降りかかる不幸は、けっして子ども自身に
原因があるのではないと思うと、大人社会の一員としては
責任の一端を感じてしまいますね。
いまの大人たちを世に送り出したのも、かつての大人たち。
世代間の連鎖を考えると、いま見えている不幸の根は
相当深いように思います。

ところで
子ども嫌いを治してくれた「あらちゃん」は
どんなお子さんなんでしょう・・・?

Posted by masktopia at 2007年06月27日 23:47
masktopiaさん、ご訪問ありがとうございます。
子供の世界は大人の世界の鏡、ということを再認識させられます。
また、経済的に厳しいところでは搾取の対象にもなってるとも。
子供の犯罪って大人世界に向けたゲリラ攻撃のようにも思えます。

あらちゃんは友人の息子なんですが、
僕はなぜか「じいじ」と呼ばれています。
あらちゃんに関する記事をタグでまとめてありますので、
ぜひご覧下さい。
Posted by えいはち at 2007年06月28日 09:01
伊武雅刀の歌、知ってます(^^; 何故かその歌だけ歌っていたような? あー私は子供きらいなので、元同志ですねぇ・・・ 
スパイク・リー。なんか久しぶりに名前を聞く感じ。。もっとも私は新作映画を最近ほとんど観ないので気づかないだけかもしれませんが。
Posted by itsumohappy at 2007年07月01日 01:22
itsumohappyさん、itsumothankyouです。
子供嫌い元同志です。すいません、転向しちゃって。
どんな映画ご覧になっているのでしょう。
タルコフスキーは苦手なんて書かれていましたが。
昔、「ソビエト映画の全貌」っていう特集やってたのご存知ですか?
Posted by えいはち at 2007年07月02日 12:27
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