公判も始まり、
被告、被害者、双方の元愛人が証人として出廷したりで、
再び世間の耳目を集めているこの事件の、
現場を巡っての記事を書いたのが一年前。
http://ei8at12so.seesaa.net/article/31460893.html
この事件の現場というのは、
1、殺人と死体損壊が行われた富ヶ谷の自宅マンション、
2、最初に死体の上半身が見つかった西新宿7丁目の道端、
3、そのあと下半身が発見された神山町の廃屋、
4、頭部が遺棄されていた町田の公園、
この4つが主なところであろう。
自宅マンションは表通りに面して建っているので、
その後も変わらず存続しているということは近くを通るたびに確認できていた。
西新宿のほうは単なる道端なので変化のしようがない。
町田に関しては遠いので、見に行くようなことはないが、
公園ということなので、たいした変化はないだろう。
無性に気になったのは、
マンションから直線距離で350mほどのところ、
宇田川暗渠遊歩道に面した神山町の廃屋である。
元々廃屋だったのだからいつ取り壊されてもおかしくはない。
しかし表通りに面しているわけではないし、わざわざ見に行くこともなかったので、
1年が経ち、どうなったかは未確認であった。
もしかしたら、忌まわしい記憶を早めに拭い去るべく、
真新しいマンションに生まれ変わったりしているのでは。
近くを通る機会があったので、見に行くことにした。
ウチから西参道を自転車で走り、参宮橋を越え、代々木公園の西側に沿った道を行く。
代々木公園交番前交差点に至る。
交番の前には警官が立っているが、その目線で現場のマンションを見てみた。

11階建ての現場となった10階部分が辛うじて見える。
どっち向きの部屋だったかまでは判らないが。
宇田川暗渠遊歩道を行き、現場の廃屋があった場所へ。
マンションこそ建ってはいなかったが、だいぶ様変わりしていた。
レトロな感じの格子状の門扉は無くなり、
真新しくいかにも大量生産っぽいモノに変わっている。
ブロック塀も門扉の周りは新しいものになり、郵便受けも新調され、
「アイホン」までついている。

廃屋はきれいに無くなり更地になっているというのに、
門扉が新しくなっているのは、なぜだろうか。
よく見ると、同じ敷地の奥にもう1棟、家がある。
門扉の向こうでは、かつて廃屋があったところを除けるように、
隅のほうに敷石が並び奥の家へと続いている。
敷石は新しいものではなさそうだ。
ということは元々ひとつの敷地に、門扉も共有した2つの家があったのだろうか。
手前の廃屋だけが忌まわしい記憶と共に消え去り、
奥にはまだ別の生活があるのだろうか。

現場近くにはこんな落書きも。
都会の片隅のなんとも不可解な光景であった。