2008年02月29日

「君達こそ出て行け」

昨日、このニュースを読み、なんとも悲しい気持ちになった。
立ち退き騒動 ファン“注文”殺到 新宿駅名物カフェ『ベルク』
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008022802091280.html

JR新宿駅東口改札徒歩15秒、
駅ビルのテナントとしては珍しい個人経営のカフェが、
大家の「ルミネ」から立ち退きを迫られているという話。

僕は、このお店には人に連れられて1度行っただけである。
その後リピーターになったわけでもなく、店名も知らないままだったが、
このニュースで、「ああ、あのお店か」とピンとくるほど記憶には残っている。
連れて行ってくれた人のお気に入りの場所ということで、
確かに、駅ビルのテナントとしては珍しい雰囲気の店であった。

「ベルク」のサイトには、
「お客様にとっても、ルミネにとっても、ベルクにとっても、幸福な道はないものか?」
と題した、店長の言葉が載っていて、ことの次第が判る。
もちろん一方の当事者の言い分ではあるが、
どうももう一方の当事者「ルミネ」の姿勢は理不尽としか思えない。

新宿東口に最近あまり行かない僕は、
日本最大級のターミナル、新宿駅真横という最高の立地ながら、
なんとなくのほほんとした雰囲気を漂わせていた東口駅ビル「マイシティ」が、
いつの間にか「ルミネ・エスト」に変わっていたことも最近まで知らなかった。
今思えば、かなりショッキングなことである。
新宿にしかなかった「マイシティ」が、どこにでもある「ルミネ」になっていたなんて。

ややもすれば排除の論理が働きがちなニッポンのムラ社会。
その国の首都最大の繁華街でありながら、新宿という街は多様性をどんどん受け入れる、
いや、貪欲に飲み込み続ける場と言ってもいい。
東京の他の繁華街ともどこか違う。
効率優先、画一化というベクトルに支配されがちな巨大企業JR東日本グループ「ルミネ」には
そのことがわからないらしい。
「ベルク」にはそんなに縁があるわけではないが、新宿の危機を感じた。

画一的なショッピング街を作りたければ、再開発で急に生まれた街とかでやればいい。
どうしてもここでそれを押し通すというならば、
新宿を、新宿っぽさを、新宿的精神を愛する人々の多くは「ルミネ」に対して思うだろう。
図体のでかいヨソモノが、好き勝手なことを言っていやがる。
冗談じゃあない、君達こそ出て行け、と。

南口に「1」、「2」、東口に「エスト」を抱える以上、
「ルミネ」だって十二社熊野神社の氏子ということになる。
以前も引用したことがあるが、紀州熊野での和泉式部の夢に現れた熊野権現の歌、
「もろともに塵にまじはる神なれば月の障りもなにかくるしき」
この寛容の精神が、新宿という街の成立にも影響を与えていると僕は感じている。
なんとか「ベルク」店長の願う「幸福な道」を見出して欲しいと願う。

とりあえず僕もひさびさに「ベルク」に行って、
美味しそうなサンドウィッチでもいただきながら、
署名してこようと思うのであった。

ベルク」応援ブログLOVE! BERG!
ラベル:新宿
posted by えいはち at 13:11| Comment(12) | TrackBack(0) | 時事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
マイシティがルミネになっていたとは知りませんでした。
私もマイシティのどこかローカルな雰囲気が好きだったのでとても残念ですが、ベルクの件に関しても、ルミネ側の言い分はどこか高圧的で不快感を感じてしまいますね。
こうしたお店は、その街でしか生まれ得ない貴重な文化だと思うのですが、そうしたものをスタイルに合わないという理由ですぐに排除してしまおうという現代の風潮は本当に愚かだなと感じてしまいます。
Posted by igu-kun at 2008年02月29日 23:44
igu-kunさん、今回は写真ではなく、僕のこんなしょーもない文章に賛同いただき感涙しております。やはりigu-kunさんのあの視点は東京への深い愛情から来ているものだったと確信しました。絶え間ない新陳代謝や変遷が東京のパワーの源泉であるとは思いますが、やっていいことといけないことは見極めなければ。「I LOVE 東京」の同志として、この巨大都市の変遷を注視していきましょう。
Posted by えいはち at 2008年03月01日 00:19
トラックバック、ありがとうございました!
こちらからも送らせていただきました!

ベルクが駅ビルから退店をいわれる筋合いは
まったくありません。
正当に営業できる権利者です。
この度の事態は大企業による慢心ではないでしょうか。
多くの方に、この問題を自分の問題として捉えてほしいと思います。

余談ですが、
私は十二社通りの側に住んで14年になります。
新宿駅の東と西では別の顔がありますが、
新宿文化の良質なカオスを
どちらの土地にも残しておきたいものですね。
Posted by 『LOVE! BERG!』 at 2008年03月02日 01:09
コメントありがとうございます。
二十数年前に東京のどこの街とも違う新宿に惚れ、住みたいと思い、それを実現することができた僕にとって、今回のことは自分の庭が荒らされているような感じがしました。
十二社通りの側、ご近所にお住まいですね。熊野神社の本殿真後ろに高層マンションが建ってしまったことについても以前、記事にしました。
http://ei8at12so.seesaa.net/article/59778699.html
再開発や変化を否定するわけではないですが、やっちゃいけないことが平気で行われているようで不安に思います。
Posted by えいはち at 2008年03月02日 08:06
ルミネエストをマイシティにする運動でもしたくなっちゃうよね。
Posted by tx at 2008年03月02日 13:21
txさん、お久しぶりです。
ルミネエストをマイシティにする運動、まったくそうですよ。エスト(東)って名前も安易だな〜。なんか哲学が感じられません。
Posted by えいはち at 2008年03月02日 14:28
えいはちさん、熊野さんの本殿の高層ビルのこと、
私も同じことを考えていて、
とっても寂しく思っていました。
ご紹介の過去記事も拝読しましたよ〜。
私は京都の出身でして、
景観について古都・京都も街全体のことを
ようやく考え始めました。
建物の高さ規制をもう一度改めようと。
西新宿の高層ビルの林立は
あの街の特色でもありますが、
歴史を無視した乱立は危険ですね。

実は私は西新宿を舞台にしたタロットカードを描いているんですよ。
地元の人の目にはどのように映るのか、
かなり気になりますので、
ぜひ覗いてみてください。
http://www5a.biglobe.ne.jp/~season5/tarot/tarot.html
熊野さんも舞台になってるんですよ。
Posted by 『LOVE! BERG!』@5* at 2008年03月07日 01:11
5*さん、ありがとうございます。
あの高層マンションに入居される方々にはせめて熊野さんを敬ってもらいたいと思います。

タロット、拝見しました。
タロットに抱いていたおどろおどろしいイメージを裏切る、爽やかな色彩の作品群ですね。
No.18の鯨とNo.19の初台からの眺めが特に親しみがあって気に入りました。
原画展には是非伺いたいと思います。
cinemazooのほうも購読させていただきます。
西新宿の風景は創造性を刺激してくれるのでしょうか。
僕の「写真館」もご覧いただけたらと思います。
http://ei8at12so.sakura.ne.jp/
Posted by えいはち at 2008年03月07日 08:47
ベルク、いつも混んでいてなかなか入れずじまいだったんですが、立ち退きの話が出ているとは知りませんでした…。

今の世の物事は、わかりやすくて見栄えがいいものがよしとされていますね。各地で行われている再開発はその典型だと思います。(ルミネエストもですがね)

そういえばベルクの近くに、一年位前までは「三光町方面出口」という案内があったんですが、ルミネエストが進出してきて地下街が改装されたタイミングで撤去されてしまったみたいです。

東西通路の拡幅計画も進行しているみたいだし、今後も新宿は変わっていくんでしょうね。
Posted by Shoji at 2008年03月09日 01:32
Shojiさん、ありがとうございます。
「三光町方面出口」のお話は大変興味深く思います。
ウチの親なんかは「三光町」っていうとピンとくるけど、若い世代にはわからないでしょうね。
看板撤去も時代の流れでしょうか。
今、ルミネがやろうとしていることは、経済最優先のようにも見えますが、渋谷の開発を引っ張ってきた東急や西武だったらどうだったでしょうか。
同じ大企業でも、ベルクのような今から築き上げようとしても難しいビジネスモデルに注目し、大切にしてむしろ学ぼうとするかもしれません。
なんか旧国鉄の官僚体質を引きずったままのJRっぽさをルミネには感じます。
そんなセンスのない企業は南口だけでおとなしくしていて欲しかったですね。
Posted by えいはち at 2008年03月09日 11:04
えいはちさん、タロットを見てくださってありがとうございました。
西新宿は私にとっては
「水」のメッセージを強く感じる土地なんです。
水は生命の源、
特に人がいなくなった夜ともなると、
不思議な神秘的光景を想像させてくれます。
昼と夜では、別の空気が漂いますよね。
えいはちさんの写真集、
ご紹介いただく前にもちゃっかり見ていました!
もう一度、改めて拝見しましたが、
西新宿のおもしろさを再認識しました。
私が撮り溜めた写真とは、
違う角度からの写真もあって良い刺激になりました。

タロットの原画展については、
西新宿のどこかで開催したいとスポンサーを求めて奔走していたのですが、
開発側の企業が多く、現在のところ、
まだ具体的に決定していません。
もしかすると、来年にズレ込むかも…。

今年の秋に、私は東京を離れ、
奈良へ引っ越すことにしています。
西新宿のタロットは
お世話になった土地へのお礼の意味で描きました。
「自然と都市開発の共存』をテーマに、
東京で暮らしている今年のうちに原画展を開催したかったのですが、
焦らずに進めて行こうと思います。
Posted by 『LOVE! BERG!』@5* at 2008年03月10日 15:44
5*さん、こんにちは。ありがとうございます。
「水」のメッセージ、わかります、わかります。
土地に対しての感性が敏感な人間って、やっぱり点在してるんですね。
東京生まれながら、少年期を地方都市で過ごしていたので、淀橋浄水場や玉川上水、十二社の池や滝のことを知ったのはずっと後にもかかわらず、僕もこの街を訪れたときから「水」を感じていました。
荒俣宏の「風水先生」などの本の中に、関連する記述を見つけたときもゾクゾクしたものです。

原画展、早く実現するといいですね。やはり西新宿で見たい気がします。
3丁目のスーパー、ポロロッカの隣にギャラリーらしきものがあって、外から見ていていつも面白そうと思ってるんですが、まだ入ったことはありません。そこはご存知だったでしょうか。
あと、中央公園の中の区民ギャラリーとかどうなんでしょう(昔、図書館だったころ行ったきりですが)。

奈良にお引越しされるということで、少々残念な気もしますが、十二社のルーツ、紀州熊野も近い紀伊半島ということですので、創造性はきっと大いに刺激を受けられることでしょう。紀伊半島は聖地の宝庫ですね。僕は10年くらい前に紀州を旅し、熊野古道を2日かけて歩き、本宮にたどり着きました。土地から伝わるパワーと、心の洗われ方は半端じゃありませんでしたよ。
Posted by えいはち at 2008年03月10日 17:38
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