1990年の第3作「死の棘」。
カンヌ国際映画祭グランプリ&国際批評家連盟賞受賞。
昨年、河瀬直美の「殯の森」がカンヌでグランプリ受賞し、
日本映画として17年ぶりの快挙と報じられたが、
その前の受賞作というのが、これ。
僕がこの作品を見たのは、
1996年、第4作の「眠る男」で初めて小栗作品に接し、
過去の作品を見なければと、ビデオをレンタルした。
ビデオ屋にあった小栗作品はこれだけだった。
他2作品はビデオ自体出ていたかどうかわからんが。
スクリーンで見たのは今回が初めて。
十数年前の衝撃が鮮明に甦ってくる。
原作は島尾敏雄の自伝的小説。
夫(岸部一徳)の浮気が発覚し、精神を病んでいく妻(松坂慶子)。
鬼の形相から一転、慈愛に満ちた表情をたたえる妻。
あまりにも激しい精神の振幅。
松坂慶子の熱演は、CMやTVドラマからは想像がつかないほど。
ひたすら低姿勢に徹しながら、時折耐え切れず暴発する夫。
名脇役・岸部一徳をマサカの主演に起用した小栗マジック見事的中。
これ以後、北野武作品や、キムタクと共演の富士通のCMなどでの、
飄々とした怪演がたまらず、日本一好きな俳優となってしまった。
戦後の小岩あたりを丁寧に再現しながらも、
意図的にセットっぽさを強調したような画面が、
彼岸と此岸の境界線を曖昧にする効果を生み出している。
正気と狂気。生と死。内面の極限的なせめぎあい。
まさに棘のように心に突き刺さる。
こっちの世界では悲劇的とも言えるラストなのだが、
魂の癒しのためには必然だったのだろうと感じさせる。
激しい諍いの後の静かな落ち着き。
浮気性の旦那さんにとっては最高に怖いホラーかもしれないよ。





いまだに観ていません。当時から評判では
ありましたが。
ミホさんはずっと喪服でしね。亡くなるまで
怖い人だと思いました。
僕は原作本は持ってますがいまだ読めてません。
映画と原作、難しいですよね。だいたい先に読むなり見るなりしたほうが勝っちゃうような。